(1)イエメンでは,ホーシー派の武装勢力が首都サヌアを武力にて制圧した後,3月25日以降,サヌアから逃れていたハーディ大統領を追って同国南部に進出していました。このような中,サウジアラビア等が,正統にイエメン政府を代表するハーディ大統領の要請を受け,ホーシー派の根拠地を空爆したと承知しています。
(2)我が国は,サウジアラビア等のGCC各国が,国連とともにイエメンの全ての政治勢力が参加する包括的な政権移行プロセスの再開に向けて努力してきたことを一貫して支持してきています。
(3)我が国は,今回のサウジアラビア等による軍事行動の背景には,イエメン政府がホーシー派武装勢力の活動を取り締まることができない状況の中で,これ以上の暴力を食い止めなければならないという事情があったと理解しています。
4)我が国としては,こうした地域各国の努力が実を結び,事態の沈静化に繋がることを期待すると同時に,イエメンの全ての勢力が暴力に訴えることなく,国連主導による政権移行プロセスが再開されるよう,国際社会と連携して取り組んでいきます。今般の軍事行動を受け,日本としては,3月31日付外務報道官談話で表明したとおり,まずは地域各国の努力が実を結び,イエメンにおいて事態が沈静化することを期待しています。
(5)日本は,先般のシリアにおける邦人テロ殺害事件を受けて,中東地域への揺るぎないコミットメントを示すため,①テロ対策の強化,②人道支援の拡充等中東の安定と繁栄に向けた外交の強化,③過激主義を生み出さない社会の構築支援からなる今後の日本外交3本柱を打ち出した。イエメンへの我が国の支援についても,この3本柱に沿った支援を国際社会と連携しながら行い,日本としてイエメンの安定化に貢献していきます。
(6)これまで,日本は,イエメン支援について,①政権移行プロセス支援,②テロ対策支援,③海上保安能力向上支援を重点分野として掲げてきました。具体的には,食糧援助等の人道支援や選挙管理・海上犯罪取締等の分野における人材育成の支援等を行ってきました。
(7)今後も,国連主導による政権移行プロセスが再開されるよう,国際社会と連携して取り組んでいきます。また,食糧援助等の人道支援に加えて,現地情勢を見つつ,政権移行プロセス支援,ガバナンス強化の分野における人材育成等,日本の強みを生かした支援を行っていく考えです。