二国間関係

1- 二国間関係

  • 1. 政治関係

    1. 1990年5月22日の南北イエメン統一に伴い、同23日、日本はイエメン共和国を承認しました。同25日、日本とイエメンは外交関係を開設しています。なお、統一以前は、旧南北イエメンそれぞれを国家承認し、外交関係を有していました。
    2. 1990年7月にアデン出張駐在官事務所を開設しましたが、1997年12月に閉鎖されています。
    3. 1990年11月、イエメン・日本友好協会(会長:ムハンマド・アドバーン氏)が設立されました。
    4. イエメン側は、2000年9月イエメン・日本友好議員連盟を設立(会長:ナビール・バーシャー議員)し、日本側は、2010年11月、日本・イエメン友好協会(会長:武正公一議員)を設立しています。
    5. 2011年の混乱に伴う治安情勢悪化により,同年3月,日本大使館を一時閉鎖(館員はアラブ首長国連邦のアブダビでイエメン関係業務を継続)。同年12月,日本大使館を再開しました。
  • 2. 経済関係

    対日貿易

    1. 貿易額(2009年/イエメン政府統計資料)
      対日輸出 276百万ドル
      対日輸入(CIF) 145百万ドル
    2. 主要品目
      輸出 石油、コーヒー等
      輸入 機械類、自動車等
  • 3. 文化関係

    1. 2005年、我が国はサヌアにて伝統能の公演、空手デモンストレーション、日本映画上映会を実施しました。同年、イエメンは愛知県で開催された愛・地球博に参加しています。また、2006年、我が国は生け花デモンストレーション、手仕事のかたち展、日本映画週間を実施しました。さらに2007年からは日本の文化を1週間集中して紹介する「日本文化週間」を実施し、毎回好評を得ています。
  • 4. 要人往来

          こちら
  • 5. 二国間条約・取極

    • 1989年9月 青年海外協力隊派遣取極締結
    • 1993年7月29日 青年海外協力隊派遣取極の改定
    • 1993年11月9日 技術協力協定の締結
  • 6. 外交使節

    • サミル・モハメッド・カミース 駐日特命全権大使
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3- イエメンの開発課題と我が国のODA

  1. イエメンの開発課題
  • (イ)イエメンは、アラブ諸国の中で最も開発の遅れた最貧国です。一人当たりGNIは960ドル(2010年国連統計)で、人間開発指数は世界133位(2010年度UNDP人間開発報告)となっています。人口の45.2%が貧困ライン以下(1日2ドル以下)の生活をしており、教育、保健などの基礎生活分野を中心に、開発需要が極めて高い国です。また、2010年現在人口は推計約2300万人で、湾岸諸国の中ではサウジに次ぐ多人口の国となり、年々3%の比率で増加しています。こうした中で失業率は40%以上に達しており、雇用機会創出のための基礎産業の育成や職業訓練等による人材育成が重要な開発課題となっています。更に、イエメン最大の開発課題は、水資源と電力にあり、将来のGCC加盟を見据えて経済の底上げを図るためにも、両分野の開発とそのためのインフラ整備が急務とされています。
  • (ロ)2011年に政変を経験したイエメンは現在移行期(Transition Period)にあり、イエメン政府は「移行期の安定・開発計画(TPSD:Transitional Program for Stabilization and Development 2012-2014)」及び公共投資計画(PIP:Public Investment Plan)を策定し、これを基本的な枠組みとして国内の開発政策・戦略を展開していますが、そのための開発資金の確保が重要な課題となっています。特に、石油収入が財政収入の75%を超えるイエメンにおいては、近年原油生産が低減傾向にあり、開発のための資金需要は今後益々高まっていくものと予想されています。
  • (ハ)イエメンは、2006年1月にはグッド・ガバナンスのための国家アジェンダ(National Agenda For Reform/Matrix of Good Governance Measures)を採択し、民主化と行政諸改革にも取り組んでいます。また、財政、金融分野の改革については、1995年以降、世界銀行及び国際通貨基金(IMF)の支援の下、緊縮的な財政・金融政策を内容とする経済改革に着手してきており、この取り組みは2006年11月にロンドンで開催された対イエメン支援国会合(CG会合)の場でも評価を受けています。他方、こうした諸改革は道半ばであり、なかでも中央、地方を含めた行政の腐敗と非能率は開発の観点からも依然として大きな課題です。
  • (ニ)イエメンの治安情勢は依然として不安定です。イラク、アフガン情勢の影響もあり、国際テロ組織アルカーイダ分子によると見られるテロ活動が現在も発生しています。イエメン政府は、9.11以降、米国を中心に欧米諸国の支援によりテロとの戦いを鋭意進めていますが、治安当局の人材面、装備面を含めたテロ対応能力は依然として低く、この分野の援助需要も非常に高いと言えます。
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4- イエメンに対するODAの考え方

  1. イエメンに対するODAの意義
    • (イ)イエメンは、我が国が石油の70%を依存する湾岸諸国に隣接しており、同国の不安定化は湾岸諸国の安定と繁栄に直接的な影響を与えます。また、地中海、アジア、アフリカを結ぶ要衝にあり、地政学的にも重要な位置にあります。
    • (ロ)日・イエメン関係は今日極めて良好ですが、これを根底から支えてきたのはこれまでの我が国のODAであり、今後とも対イエメンODAを有効な外交ツールとして積極的に活用すべきだと考えます。
    • (ハ)イエメンは、民主化や市場経済等の基本的価値を我が国と共有する数少ないアラブの国であり、外交上我が国の重要なパートナーです。
  2. イエメンに対するODAの基本方針

    我が国は、イエメンの開発政策・戦略の枠組みである上記TPSD及びPIPを踏まえて、当面は基礎教育、保健・医療、地方給水といった基礎生活分野と職業訓練を中心に無償資金協力と技術協力を実施していく予定です。同時に、水資源開発、産業基盤整備、農業等の産業振興、テロ対策などイエメンの多様な開発ニーズにできるだけ応えていくよう様々な援助スキームを活用して、対イエメンODA実績を大幅に拡大していく予定です。

  3. 重点分野

    2009年に行われた二国間経済協力政策会議で、人的資源開発、保健・医療、社会・経済基盤整備を重点分野とすることが確認されましたが、政策会議後のイエメン政府によるTPSD、PIP策定などの新たな動きを踏まえ、今後必要に応じて重点分野をレビューしていく予定です。

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5- イエメンに対する2011年度ODA実績

  1. 総論

    2011年度の対イエメン無償資金協力は、29.51億円(交換公文ベース)、技術協力は0.58億円(JICA経費実績ベース)でした。2011年度までの援助実績は、円借款608.49億円、無償資金協力706.16億円(以上、交換公文ベース)、技術協力99.46億円(JICA経費実績ベース)です。我が国の対イエメン支援の詳細についてはこちら

  2. 無償資金協力

    イエメンは中東地域で最も所得が低いことから、国民に直接裨益する基礎生活分野および貧困農民支援を中心に無償資金協力を実施してきています。2010年度には、保健、教育、環境、衛生等の分野で18件の草の根・人間の安全保障無償資金協力を実施ししました。しかし、2011年に発生した「イエメン危機」に伴う治安悪化の煽りを受け、二国間協力は限定的となっています。

  3. 技術協力

    2010年現在、職業訓練システム改善、コミュニティー母子栄養・保健プロジェクト、女子教育向上プロジェクト(フェーズ2)の各技術協力プロジェクトが進行中であるほか、各種研修を実施しています。しかし、2011年に発生した「イエメン危機」に伴う治安悪化の煽りを受け、二国間協力は限定的となっています。

2012年、2013年の対イエメン経済協力実績(英語)はこちらから。

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6- イエメンにおける援助協調の現状と我が国の関与

イエメン政府の負担を軽減する観点から、イエメン政府とドナー国、国際機関等(含むNGO)の間では援助協調が行われています。現地では、援助全体に関わるハイレベルの会合から、分野別(教育、水、保健、ジェンダー、民主化、環境等)の専門家レベルの技術的会合まで、各種のドナー国会合が頻繁に開催されており、我が国からは現地日本大使館関係者やJICA関係者が参加しています。また、2006年11月には、イエメン政府と世界銀行が共同議長となり、ロンドンにおいて支援国会合(CG会合)が成功裡に開催されており、ドナー関係者からのイエメンの各種努力に対する評価と47億米ドル相当の支援表明が行われました。また2007年6月にサヌアで開催された対イエメンCGフォローアップ会合では、プレッジ総額が約50億ドルに達しました。
さらに、イエメン不安定化に対する国際社会の懸念の拡大を受け、2010年1月、国際社会が共同してイエメンを支援する枠組みである「イエメン・フレンズ・プロセス」が立ち上がり、我が国も同プロセスのすべての関連会合に参加し、積極的な貢献を行っています。

(参考)わが国の対イエメン経協実績表(暦年、DAC集計ベース、単位:百万ドル)
無償資金 協力 技術協力
2006年 10,33 3.80
2007年 13,48 4.82
2008年 29,60 3.74
2009年 33,92 5.06
2010年 22,44 6.19
2011年 12.39 2.26

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7- 我が国の対イエメン支援の基本的な考え方

  • (1)イエメンでは,ホーシー派の武装勢力が首都サヌアを武力にて制圧した後,3月25日以降,サヌアから逃れていたハーディ大統領を追って同国南部に進出していました。このような中,サウジアラビア等が,正統にイエメン政府を代表するハーディ大統領の要請を受け,ホーシー派の根拠地を空爆したと承知しています。
  • (2)我が国は,サウジアラビア等のGCC各国が,国連とともにイエメンの全ての政治勢力が参加する包括的な政権移行プロセスの再開に向けて努力してきたことを一貫して支持してきています。
  • (3)我が国は,今回のサウジアラビア等による軍事行動の背景には,イエメン政府がホーシー派武装勢力の活動を取り締まることができない状況の中で,これ以上の暴力を食い止めなければならないという事情があったと理解しています。
  • (4)我が国としては,こうした地域各国の努力が実を結び,事態の沈静化に繋がることを期待すると同時に,イエメンの全ての勢力が暴力に訴えることなく,国連主導による政権移行プロセスが再開されるよう,国際社会と連携して取り組んでいきます。今般の軍事行動を受け,日本としては,3月31日付外務報道官談話で表明したとおり,まずは地域各国の努力が実を結び,イエメンにおいて事態が沈静化することを期待しています。
  • (5)日本は,先般のシリアにおける邦人テロ殺害事件を受けて,中東地域への揺るぎないコミットメントを示すため,(1)テロ対策の強化,(2)人道支援の拡充等中東の安定と繁栄に向けた外交の強化,(3)過激主義を生み出さない社会の構築支援からなる今後の日本外交3本柱を打ち出した。イエメンへの我が国の支援についても,この3本柱に沿った支援を国際社会と連携しながら行い,日本としてイエメンの安定化に貢献していきます。
  • (6)これまで,日本は,イエメン支援について,(1)政権移行プロセス支援,(2)テロ対策支援,(3)海上保安能力向上支援を重点分野として掲げてきました。具体的には,食糧援助等の人道支援や選挙管理・海上犯罪取締等の分野における人材育成の支援等を行ってきました。
  • (7)今後も,国連主導による政権移行プロセスが再開されるよう,国際社会と連携して取り組んでいきます。また,食糧援助等の人道支援に加えて,現地情勢を見つつ,政権移行プロセス支援,ガバナンス強化の分野における人材育成等,日本の強みを生かした支援を行っていく考えです。